9月10日(水)英国競馬界は財務省が進める競馬賭博課税引き上げ案に抗議するため、全レースを取りやめる異例のストライキを実施することを発表しました。
対象となるのはカーライル、リングフィールド、アトックシターでの昼開催3場と、ケンプトンでの夜開催1場。
BHA(英国競馬統轄機構)と4競馬場の所有者が合意し、現代競馬史上初めて自主的に開催を全面中止する運びとなりました。
報道によると1日ストライキを行うだけで競馬界の損失は約70万ポンド(1億4,000万円)に達すると見込まれています。
カーライルとケンプトンを所有するジョッキークラブのジム・マレン最高経営責任者は「競馬界が一つにまとまり、このような形で政府に深刻な影響を考える時間を与えることを選んだ」と声明を出しました。
「アックス・ザ・レーシングタックス」キャンペーン
BHAはSNSなども活用し「Axe The Racing Tax(競馬課税撤廃)」キャンペーンを展開し、現行のオンライン賭博3税制を一本化する「リモートベッティング・ゲーミング課税」導入案に強く反対してきました。
現在、競馬やスポーツ賭博は15%課税されているが、スロットやカジノゲーム同様に21%に引き上げられる可能性があるとされています。
BHAが依頼した経済調査では、税率が21%に引き上げられれば競馬界の年間収入は6,600万ポンド(約132億円)減少すると言われており、25%なら9700万ポンド(約194億円)、40%では1億6000万ポンド(約320億円)の損失と試算されています。
競馬界は現在8万5,000人の雇用を支えており「生存を脅かす深刻な危機」として一致団結して、抗議に踏み切ったとされています。
各関係者の発言
アリーナレーシング社(リングフィールド・アトックシター運営)のマーティン・クラダスCEOは「競馬は社会や雇用に多大な貢献をし、カジノゲームのように24時間10秒ごとに賭けられるものではない。税制上も区別され続けるべきだ」と強調。
BHAのブレント・ダンシー暫定CEOも「競馬界はすでに財政的に危うい状況にある。課税引き上げは壊滅的打撃となり、全国の町や地域で数千の雇用を失わせかねない」と警鐘を鳴らしました。
中止となる9月10日のレースは別日に組み直される予定となっています。
翌11日にはドンカスター競馬場でベットフレッド・セントレジャーフェスティバルが開幕。昨年はキア・スターマー首相夫妻も来場しており、首相は「晴天の競馬ほど素晴らしい一日はない」と語っていました。
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