大手ブックメーカーのパディパワー社は、英国・アイルランドおよび北アイルランドで計57店舗を閉鎖することを発表しました。
これにより約250人の従業員が職を失う見込みとされています。
今回の閉鎖はパディパワー社が運営する全608店舗の約1割にあたるとされており、親会社のフラッター・エンターテインメントは、閉鎖は来月予定されている英国予算案での賭博税引き上げとは直接関係ないと説明しつつも「増税は業界の雇用や投資に深刻な影響を与える恐れがある」と警告しています。
内訳
内訳は英国で28店舗、アイルランドで28店舗、北アイルランドで1店舗。閉鎖の具体的な時期は未定ですが、影響を受ける247人の従業員にはすでに通知が行われたとのこと。
フラッター社は可能な限り再配置を進めるものの、「一部の雇用喪失は避けられない」としています。
実店舗数は8年で3分の1減少
パディパワー社の英国・アイルランドでの店舗数は、2017年の9,977店から2025年には6,668店へと減少しており、8年間で3分の1が姿を消しました。
業界全体で進む縮小の動き
同様の動きは他社にも広がっており、ラドブロークスとコーラルを擁するエンテイン、そしてウィリアム・ヒルを所有するエヴォークも、それぞれ最大200店舗の閉鎖を検討中と報じられています。
賭博店舗は競馬の放映権料や課徴金を通じてスポーツ界へ資金を還元しており、店舗減少は英国競馬界の財政基盤にも打撃を与えることが懸念されます。
税制強化に業界の不安
英国のレイチェル・リーヴス財務相は労働党大会で、「賭博企業は公平な税負担を果たすべきだ」と発言。米国での講演でも、さらなる税制強化策を検討していることを示唆しました。
これを受け労働党議員101人が財務相宛に連名で書簡を送り、オンラインおよび店舗での賭博税を最大50%まで引き上げる案を支持しています。
独立系ブックメーカー、ジェニングスベットのマネージングディレクター、グレッグ・ナイト氏は次のように警鐘を鳴らしています。
「これ以上の増税は、ブックメーカーにとって壊滅的です。競馬界と街中のブックメーカー店舗、双方にとって死刑宣告となるでしょう」。
参考記事:Paddy Power to close 57 betting shops across the UK and Ireland with almost 250 jobs at risk

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